義トリオに翻弄される毎日です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ぼちぼち進めます~。
+ + + + +
桜はもう満開のころを過ぎて、早くも葉を見せる準備を始めている。
それでも花弁が舞うその様はどことなく浮世離れをしていると思う。
心地よい春の陽気に照らされながら幸村は目を細めながらしばし桜を眺めた。
隣を通っていくおばさんが訝しげにこちらに視線を走らせるのに気づいたのは数分後だ。
(あ、いけないいけない)
幸村は顔をふるふると振って気分を一新させる。
そうだ、今日は入学式なのだ。
真新しいスーツに身を包む自分の姿を確認すると現実が戻ってくる。
暫く準備をしてきたから意識はあったが、それでも慣れ親しんだ友人たちがいないのは不安なことだった。
そのことを思い出して、幸村は若干肩を強張らせながら歩き出した。
寮から大学への裏道を抜けていく。
次第に大通りに近づくにつれて先が騒がしくなってきた。
あれ、と思って先のほうに目を凝らしてみると、そこには白い立て看板。
そして正門から見える長蛇の列。
(うわ…)
幸村は声を上げそうになった。
そこにいたのは予想していた自分同様にスーツを着た一団だけではなかった。
やたら明るい顔をして「入学式」と書かれた看板の前で記念撮影をする夫婦。
親だけではない、祖父母もちらほらと見える。
そして在学生と思われる集団も。
何で新入生じゃない人がいるんだろう?と思いながら何気なく通ろうとすると。
「君新入生!? スポーツに興味ない!? 俺たち柔道サークルなんだ」
「お、キミ山が好きそうな顔してる!! 一緒にのぼろうよ!!」
「待って、キミの名前田中でしょ!? あれ、違う? ごめんごめんとりあえず話聞いてかない?」
「俺他大の学生なんだけど、楽器やってる人にぜひ来てほしいんだよね!! インカレ楽しいよ! どう?」
思いっきり勧誘された。
あわわと思っているうちにどんどん人が集まってくる。
最初のうちは昔友達に誘われて剣道やってましたとか、よくわかりましたね海見たことないんですとか、すみません田中さんではありません人違いではないですかとか、いちいち(若干ずれた)返事をしていた幸村だったが、さすがに相手の勢いに押されてあいまいな笑顔で逃げるように講堂前に辿り着いた。
はぁ、とため息をついて一度落ち着く。
なんだかもみくちゃにされて、さらにたくさん勧誘のチラシを貰ってしまった。
とりあえずしまおうと幸村は鞄をごそごそと開いた。
そんな時。
「こんにちは、なのじゃ!」
溌剌とした女の子の声がした。
振り返ったその少女の髪は燃えるような真紅であった。
+ + + + +
誰だかもうわかっちゃいますね(笑)
+ + + + +
桜はもう満開のころを過ぎて、早くも葉を見せる準備を始めている。
それでも花弁が舞うその様はどことなく浮世離れをしていると思う。
心地よい春の陽気に照らされながら幸村は目を細めながらしばし桜を眺めた。
隣を通っていくおばさんが訝しげにこちらに視線を走らせるのに気づいたのは数分後だ。
(あ、いけないいけない)
幸村は顔をふるふると振って気分を一新させる。
そうだ、今日は入学式なのだ。
真新しいスーツに身を包む自分の姿を確認すると現実が戻ってくる。
暫く準備をしてきたから意識はあったが、それでも慣れ親しんだ友人たちがいないのは不安なことだった。
そのことを思い出して、幸村は若干肩を強張らせながら歩き出した。
寮から大学への裏道を抜けていく。
次第に大通りに近づくにつれて先が騒がしくなってきた。
あれ、と思って先のほうに目を凝らしてみると、そこには白い立て看板。
そして正門から見える長蛇の列。
(うわ…)
幸村は声を上げそうになった。
そこにいたのは予想していた自分同様にスーツを着た一団だけではなかった。
やたら明るい顔をして「入学式」と書かれた看板の前で記念撮影をする夫婦。
親だけではない、祖父母もちらほらと見える。
そして在学生と思われる集団も。
何で新入生じゃない人がいるんだろう?と思いながら何気なく通ろうとすると。
「君新入生!? スポーツに興味ない!? 俺たち柔道サークルなんだ」
「お、キミ山が好きそうな顔してる!! 一緒にのぼろうよ!!」
「待って、キミの名前田中でしょ!? あれ、違う? ごめんごめんとりあえず話聞いてかない?」
「俺他大の学生なんだけど、楽器やってる人にぜひ来てほしいんだよね!! インカレ楽しいよ! どう?」
思いっきり勧誘された。
あわわと思っているうちにどんどん人が集まってくる。
最初のうちは昔友達に誘われて剣道やってましたとか、よくわかりましたね海見たことないんですとか、すみません田中さんではありません人違いではないですかとか、いちいち(若干ずれた)返事をしていた幸村だったが、さすがに相手の勢いに押されてあいまいな笑顔で逃げるように講堂前に辿り着いた。
はぁ、とため息をついて一度落ち着く。
なんだかもみくちゃにされて、さらにたくさん勧誘のチラシを貰ってしまった。
とりあえずしまおうと幸村は鞄をごそごそと開いた。
そんな時。
「こんにちは、なのじゃ!」
溌剌とした女の子の声がした。
振り返ったその少女の髪は燃えるような真紅であった。
+ + + + +
誰だかもうわかっちゃいますね(笑)
PR
この記事にコメントする